ベータ1,3/1,6グルカン
マクロファージの活性化で健康維持
アメリカ・ハーバード大学の研究陣は、マクロファージの表面に、ベータ1,3/1,6グルカンを受け入れるレセプターが存在していることを明らかにしました(メディカルジャーナル誌 vol.173・1991年6月)。
外部からウイルスや細菌が侵入すると、体の防衛反応が働き、マクロファージや好中球などの白血球が動き出します。
これらの白血球をパワーアップするのが、ベータ1,3/1,6グルカンです。
静止状態のマクロファージ
ベータグルカンの結合により活性化されたマクロファージ
パン酵母ベータグルカンの構造
ベータ1,3/1,6グルカンは、基本構造が同じであっても、酵母や菌の種類によって、側鎖1,6結合の長さや間隔などが違い、型が異なります。免疫細胞に反応するためには、側鎖の長さや間隔が最も重要になります。
安全な食品として認定
パン酵母ベータグルカンは、1983年にFDA(アメリカ食品医薬品局)で安全な食品として認定され、FDAが規定する食品一般安全基準(GRAS規格 Title21, Vol.3)に記載されています。禁忌、副作用、毒性は報告されていません。
ベータ1,3/1,6グルカンは、パン酵母やその他の真菌類の細胞壁を構成する物質で、世界の研究機関で免疫賦活作用が確認されています。
免疫力強化のしくみ
口から摂取され腸管に達したベータ1,3/1,6グルカンは、腸管免疫組織にあるパイエル板上部のM細胞に取り込まれます。パイエル板には全ての免疫細胞が集まっており、ベータ1,3/1,6グルカンは、その中のマクロファージ、好中球、NK細胞などと結合します。
すると、これらの免疫細胞は活性化し、T細胞(細胞間シグナルの放出や病原体の殺傷)やB細胞(抗体の産生)も活性化され、それらの連動を受けて、マクロファージがさらにパワーアップされます。とりわけ、粘膜の免疫力を強化する働きは、大いに注目に値すると言えるでしょう。
免疫力が低下する主な原因
- 加齢による免疫機能の衰え(20歳を過ぎると免疫力は低下する)
- 身体的および精神的ストレス
- 過労、不規則な生活、睡眠不足
- 生活環境の悪化、排気ガスによる大気汚染や自動車の騒音、放射線など
- 偏食などによる栄養不足、暴飲暴食
- 喫煙
- 過剰な運動あるいは運動不足
- がん治療などによる骨髄へのダメージ
ウイルスや病原菌、体内で発生する悪性細胞などから体を守り、発病を未然に防いでくれる免疫力。免疫力は20歳代がピークで40歳代から急激に低下し、ささいな体調不良で重病に繋がりやすくなります。寝込んだり日常生活に支障が出る前に早めの対策を心がけることが大切です。